背中には向日葵(リライト)/木屋 亞万
 
のよ、
向日葵を背負っているからあなたは光に背を向けるの
光に背を向け続けることはあなたの向日葵を育てることなのよ、何も悪いことじゃない
姉はそういうと、僕が解体した白い花びらをノートに貼り付け始めた

僕はその向日葵を壊すことができなかった
壊すどころか一輪挿しの水を毎日入れ換えて、大切に世話した
向日葵と目を合わせることはしなかったけれど
その花が自分の分身であり、自分の影であるように思えた

姉は向日葵を持ってきた日、病室を出るときに、こちらを振り返って呟いた
向日葵は太陽の方をしっかり見つめるイメージがあるけどね、
実際のところ向日性はそれほどじゃなくて、いつも太陽を見ているわけじゃないのよ
そう言い終わると部屋を出ていった、

僕の背中の向日葵もそれぐらい適当に咲けばいいのにと思った

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