背中には向日葵(リライト)/木屋 亞万
さらわれて、僕は流れ去ってしまった
目が覚めたら、生きていた。
僕は死にたくないと思っていた、泥水を飲みながら、何度も、目が覚めるまでずっと、
それは僕の意思じゃなかったし、僕の手の届かない所にある僕のすべてでもあった
病室は身体を癒すための場所ではなく、心の暴発を監視する場所だった
僕は欠かしという呼び名が嫌だった、どうしたものかと考えあぐねて、
向影葵と書いてひまわらずと名乗ることにした
お見舞いにもってきてもらった花を解体するのを日課にしていた僕のことを
ひまわらずと呼んでくれる人は誰もいなかった、花は僕に許しを請うことはしなかったし
断末魔の叫びをあげることもなか
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