背中には向日葵(リライト)/木屋 亞万
強く雨が降る日に、傘も差さずに家を出た、麦藁帽子も手袋も部屋に残して
台風に蹂躙される街は僕のもの、僕だけのもの、
横殴りの雨、薄暗い街、ぶつかりあう看板と壁、引きちぎられそうな木々
目が開けられないくらい大粒の雨の殴打、もっと僕を叱ってくれ、僕の町よ
キャスター付の看板がこちらに吹き流されてきたので、思い切り蹴り倒した
丁寧に並べられた植木鉢の列を支える土台を蹴り倒し、花を踏み潰した
僕は台風、僕は町、蹂躙するのは僕、蹂躙されるのも僕、大人は何も見えていない
電線がイカれた縄跳びみたいにびゅんびゅん鳴って、雨は空中で波打っていた
興味本位で見に行った川の、暴走する濁流に足元をさら
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