背中には向日葵(リライト)/木屋 亞万
ど、それぐらいの濃度なら何ら問題ない
薄い毒なら少しくらい飲んでもすぐには死なないのと同じ
むしろ闇の中の仄かな光はアルコールのように心を痺れさせた
大人になると心を覆う膜が厚くなったのか
昼間でも山間部には出かけられるようになった
季節に関わらず麦藁帽子を目深に被り、長そで長ズボンに手袋は欠かさなかった
誰が言い始めたのか、僕はカカシと呼ばれるようになった
案山子ではなく欠かしと書くカカシだ、確かに何かが欠けている僕は
僕を批評する冷たい目に腹が立つとともに、少し心地よさも覚えていた
それは塩の濃度が高い死の湖で泳ぐような快感だった、精神の粘膜が痛いくらい痺れた
強く
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