汚れた川面を見つめている右目だけのアリサ/ホロウ・シカエルボク
るんだ?真実も嘘も、俺たちが人である以上一生判らないものなのかもしれんぜ…
ある日仕事から帰ってみると、アリサの姿がなかった―「生まれた街に行ってくる」と置手紙があった
俺はその手紙を広げたままピザを食った
アリサの分も一人で食べつくした
珈琲を二杯飲んでから手紙をたたんで机の引出しにしまった
アリサは二カ月の間帰ってこなかった
帰ってきたとき、アリサは少しすっきりした顔をしていた
「父親の墓に唾を吐きかけてきた」と言って笑った、そして泣いた
彼女の父親は彼女の母親に殺されたのだそうだ
彼女が家を飛び出して数ヶ月経ったころに
「左目の
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