汚れた川面を見つめている右目だけのアリサ/ホロウ・シカエルボク
 
右目は奇跡だよ、誰にもそんな風にこの川を見つめられはしない」
二羽のハトが俺たちの足元でパンくずを探している
「わたしの見ている世界はみんなうそ?それともほんとう?」
「そんなこと誰にもわからない、俺が見ているものだってそのどちらかでしかないのかもしれない」
「どちらかでなければいけないのかしら?」
「どちらかを求めているのならね」
「あなたは求める?」
俺は爪先でハトをからかいながら考える、そういや…
「求めたこと、ないな」
アリサは右目だけでまばたきをする―時々そんなふうになることがある
「どうして求めないの?」
俺は立ち上がる「どうしてだろう?動き
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