汚れた川面を見つめている右目だけのアリサ/ホロウ・シカエルボク
 
ついてはどちらともとれる笑みでしか答えなかった
「きらきらするのよ」
アリサの顔にはまるで表情というものがなく、綺麗だと思いながらそれを突き放してるみたいに見えた
「右目ってきっと光を見るためにある目なんだわ」
そんなことはない、と俺は言う―無粋だってことは充分判ってはいるけれど
「そんなことどうでもいいのよ」
アリサは川面から目を離す、まっすぐに俺の顔を見る、川面を離れた瞳は心まで届かせることのない悲しみを湛えているみたいに見える、俺は彼女の隣に座る、彼女は頭を俺の肩に乗せる
「わたしと同じ景色を見たいって言って」
見たいのかもな、と俺は答える
「おまえの右目
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