ジェンガング/影山影司
を見たまま言う。「風が気持ちいいです」僕は地面を見る。荒い地面だ。乾ききった黄土色、表面にまぶされた小石、砂。靴底を引き摺るとザガガ、と擦過音。「ニビイロ」
スタートする。
老人と「鉛色」僕が「三番目の人」交代で「ライフル」決められた言葉を「旋状」それぞれ「なまり」たんたんと「空へ」読み上げる。読み上げたことに意味は無い。ただの、確認だ。
僕の
脳味噌がぐじゅぐじゅと呻いている。限界だ。僕は、枯れ切った背中、肩甲骨の辺りに左手を沿え、右手をジェンガの枠に突っ込んだ。無いはずの空間に四角い空間を感じる。中央に、ジェンガ。手探りでタワーを崩す。がらがらと音がする。全てが、無根拠だ。
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