ラムネに贈る/空都
 
サイダーみたいに爽やかじゃなくて
もっとまどろっこしい
ラムネみたいな


あの記憶がラムネ瓶の中のビー玉だとすれば
今もまだ胸の中で栓をしているんだ。

『いい思い出だったね』
なんて言えるほどすがすがしい記憶じゃないが
『ありがとう』
と言えば綺麗事で終わるんだろう



そんなの許されるのかな




延々と降り注いでいた霧雨が
いつの間にか弱まっていたとき


最後の笛がなった



夕闇にまぎれた君の顔は
そのとき暗くてよく見えなかったけれど
近づいてきたとき
泣いていたって判ったんだ
泣いていない人はいなくて
皆おもいお
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