ラムネに贈る/空都
サイダーみたいに爽やかじゃなくて
もっとまどろっこしい
ラムネみたいな
あの記憶がラムネ瓶の中のビー玉だとすれば
今もまだ胸の中で栓をしているんだ。
『いい思い出だったね』
なんて言えるほどすがすがしい記憶じゃないが
『ありがとう』
と言えば綺麗事で終わるんだろう
そんなの許されるのかな
延々と降り注いでいた霧雨が
いつの間にか弱まっていたとき
最後の笛がなった
夕闇にまぎれた君の顔は
そのとき暗くてよく見えなかったけれど
近づいてきたとき
泣いていたって判ったんだ
泣いていない人はいなくて
皆おもいお
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)