はじめへ/仲本いすら
ンクリの高架下だ
もう二度と開くことはないってさ
町はすっかり綺麗になって
老人や障害者が住みやすい良い町になったよ
でももう赤い電車は見えない
見えないんだ。
なあ、はじめ。
知ってるか。
お前が付き合ってるその、香水のきつい女だが
お前が仕事を首になった翌日に通帳と印鑑を持って逃げるぞ
そのあとお前は近所のジョナサンでしばらく途方に暮れるが
そこの今、コップを盛大に割った女を忘れるな
そいつが将来のお前の嫁だ。
なあ、はじめ。
知ってるか。
専門を中退してからも、良くしてくれた
ゆきちゃんを覚えてるか
いますぐ彼女にお前の精一杯
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