はじめへ/仲本いすら
 
一杯を捧げろ
お前ができるすべてをしろ
二○○九年の夏に
本当に唐突に
しんでしまうから
そして、お前は彼女の通夜にいけなかったことを
しぬまで後悔することになる
コールドプレイなんて聴くたびに
なみだがとまらなくなるんだ。


なあ、はじめ。
知ってるか。


お前の柿アレルギーは一生治らない
だからお前はもう二度と柿を口にすることはない
だから
たまには婆ちゃんに顔を見せてやれ
お前がまだ柿が好きだと思って
毎年送ってくれてたのに
もう今じゃお前の事なんて一ミリも覚えちゃいないんだから。


なあ、はじめ。
知ってるか。


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