遠雷/ホロウ・シカエルボク
 
して
僕は
何が起こったのか確かめなければと思ったけれど
そのうちに何も考えられなくなって
気づいたときは病院のベッドの上だった


医師の診察が終わると警部と名乗る男が僕のもとに来て
犯人は逮捕されました、と僕に言った
それだけで僕はもうすべてを理解した
彼の顔はあきらかにもうひとつ僕に告げるべきことを持っていた
僕は君のことを尋ねた
「残念ですが」
と彼は言った
残念ですが
残念ですが


病院を出たとき
僕は左腕が利かなくなっていた
そして
胸の中は空っぽだった
アリスがアパートの入口で
おいおい泣きながら僕
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