遠雷/ホロウ・シカエルボク
出かけ
店の人たちからの信頼を手に入れた
お互いのために恥ずかしくない自分になろうと
それだけのために必死になれたんだ
半年もすると僕はサラダやなんかを
盛り付ける係に昇格した
同じ日に
君の給料が少し上がって
僕らは初めて少し贅沢をすることに決めて
おっかなびっくり滑り込んだ
マディの流れる小さなバーで祝杯をあげた
初めて同じクラスになった日の
音楽の授業で習ったオペラの曲を
ハミングしながら部屋までの道を帰った
一年目にちょっとした事があって
女主人と仲良しになった
彼女の名前はアリスといった
率直に言って彼女には似て
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