えこなからの手紙/人 さわこ
 
長していく顔を毎日のように確認するだけで
私たちはそれを間接的に手伝うことも許されない
ただじっと観察し
関係性がありそうで全くない彼らと、その未来との契約を
とても長い期間を使って事務的に結んでいく
とても大掛かりで地味なものだ
若いころの私は、必死でその中から
自分にとって価値のある意味を掬いだそうとすることに神経を使っていた
すこしの時間をつくって眠ろうとしても
考えるのは仕事のことばかりだった
純粋でなくなってしまった自分に気づき
それをとても悲しいことだと思っていた

好きな音楽を聴くこともなくなり
友人とどこかへ出かけることも少なくなりはじめ
実際に私がそ
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