えこなからの手紙/人 さわこ
 
がそのことを実感しはじめたとき
大きな宅配便が届いた
差出人はえこなで、それはえこなの描いた絵だった

色とりどりの、この世の素晴らしさを全て持っているかのような
一羽の鳥の絵だった
曇り空を、生きるそのためだけに飛ぶ逞しい
一羽の大きな鳥の絵だった
えこなはこの鳥に会ったのだろうか
えこなはこの景色を見上げて、何を考えていたのだろうか
わからなかったけど、涙が出た

そして、カンバスの裏にはこう描かれていた
「お元気ですか。みんなこの絵を鳥、鳥と言い褒めてくださいますが、これは鳥ではなく、人間の心に巣くう鬼です。何かに操られている人というのは、得てしてその邪悪な存在がこの世に現れるために作り出し、憑依した物体を美しいものだと錯覚して騙されがちですが、あたいにはそれがとても醜く、恐ろしい姿に見えてならないのです。」

涙腺がしゃっくりをしているみたいに
痙攣して引きつっているのを感じていた
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