世の中がどんなに変化しても、人生は家族で始まり、家族で終わる/吉田ぐんじょう
 
二度と

繭はたまに芯のあたりがぼんやり明滅する
なぜかわからないのだけど
それはいつも
まるでお別れを言っているみたいに見えるのだった



祖母はわたしの生まれる前に子宮を摘出した
ある意味でわたしはその子宮から派生したように思うのだ

わたしがもっとも
濃い関係を持っていたのは
祖母とだったから

以前は
ぽたぽたと降りしきるようなひなたの縁側で
おざぶとんを出してラジオで一緒に落語を聞くのが好きだった
桂枝雀はいいねえと言いながら
おせんべいをごりぼり噛んで

そんな時間が永遠に続くような気がしてたけど

ある日を境に祖母はだんだん記憶をな
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