世の中がどんなに変化しても、人生は家族で始まり、家族で終わる/吉田ぐんじょう
 
たしはその晩から
ピンセットでつまんだ肉を
すこうしずつ妹の体へ入れていったのだった
かわいそうに
だけどこうしないと
おまえ食べられちゃうんだよと言いながら

思えばあれがはじまりだったのだ

今の妹はまごうかたなき肉食となり
けものの肉なら生でも食べる
なんだかごめんね
と呟くと唇の端から血を滴らせて
なんなの へんなおねえちゃん
と笑う

それでも妹は
とても素敵な脚をしていて
きっと死ぬまで彼女の脚は素敵で
それと同様に
死ぬまでわたしは妹を愛する事をやめない
やめない 絶対に



両親の寝室は二階にあった

机が二つ並んでいたその
[次のページ]
戻る   Point(53)