One Thousand 20th Century Chairs/捨て彦
 
いた。
「いえ、何もお手伝いして頂かなくてよろしいですよ。」
「そうなんですか…」
「ただ、私たちもこういう身分ですので、できるだけ穏便に仕事をしたいのです。ですので、さすがに守秘義務とまではいきませんが、このことは内緒にしておいて貰えませんか?」
「はい!」
声でかっ。だがしかし、おれはそのときたしかに、おばあちゃんの若い少女の頃を見た気がした。
「じゃあ、そろそろ私は行こうと思います。…。皆さん、どうもありがとう。」
「いえいえ」
「どういたしまして」
「あ、おばあちゃんも、本当にありがとうございます」
「大したこともできませんで…」
「いえ、本当に助かります。我々にとっ
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