One Thousand 20th Century Chairs/捨て彦
とって住民の皆様の協力が何よりの支えです。」
「あ、そうそう、おはぎがあるわ!これを持っていって頂戴」
「え、いやそんな…」
「ええの、ええの。お仕事中、お腹空くやろ、持っていき」
「そうですか、それじゃあ頂きます」
「今朝作ったのがあるから、皆も食べり」
もうお開きになるんちゃうんかいな。
「はぁ。では頂きます。」
おばあちゃんのおはぎは結構美味しかった。忙しいのにおっさんは律儀におはぎを三つも食べた。それから、おっさんはでは、と言って普通に玄関から出て行った。普通に出てって大丈夫なんか?とは思ったけどその事については何にもいわんかった。その後は三人で、なんやかやとまた話をしていた。おれとユミちゃんが今日初対面だということも喋った。面白いこともあるもんやねぇとおばあちゃんは楽しそうにゆった。
それだけなら良かったのに、後日ポストに手紙が入っていて、それはおっさんのものだった。犯人は無事捕まえた旨が書いてあったのともう一つは、玉田のおばあちゃんが実は自分の遠縁の祖先だということだった。不思議なこともあるもんだ、という言葉で手紙の最後は締めくくってあった。
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