One Thousand 20th Century Chairs/捨て彦
 
中々難しいらしい。誤差の修正範囲内ではあるが、今回このマンションに出てきたのもそのせいだと言った。おれとユミちゃんはほーとかはーとか言いながら話を聞いていた。だけど途中から面倒くさくなって携帯を開いてお互いにメールを出し合っていた。おっさんの話は確かに深刻な話やったけど、全然Realityがなくてだんだん白けてしまったからだった。ただおばあちゃんはすごい真剣に聞いていた。在りし日の青春をまるで取り戻すかのように聞いていた。
「…ということなんです。」
おっさんは冗談をいうでもなく、至って真剣だった。
「それで…、私たちは何をお手伝いしたらよろしいんですやろ?」
おばあちゃんは恐る恐る聞いた
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