One Thousand 20th Century Chairs/捨て彦
 
ちょっと戸惑ってる。おれもユミちゃんも返答に臆しているとおっさんが続けて喋りだした。
「どうもすみません、私がちょっと転んでしまって、大きな音を立ててしまったんです。」
いやいや、音でかすぎやろ。
「はぁ、ほたら、怪我とかは大丈夫?」
「ご心配なく」
「なんか部屋に入れてくれ、入れてくれるな、ゆうてたねぇ」
ほんまに全部聞いてたんやな、おばあちゃん
「いやいや、おばあちゃん、別にええねんで。そんなん気にせんでも。」
「私の部屋でよかったら、入る?」
えー!何をゆうてんのや、このおばあちゃんは。なんだかまた面倒くさくなりそうや思て、おれがおばあちゃんに喋りかけようとしたとき、おっさ
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