零の抵抗/セルフレーム
いたの。
毎日毎日、私に話すのは彼のことばかりだったけれど・・・
本当に、楽しそうだった。
でも―
いつだったかしら。
彼に許婚ができたの。
同い年で―それも学校1美しいって言われてた娘よ。
彼女の落胆ぶりは、見ていられなかった。
もうその頃から、狂っていたのかもしれないわ―・・・
そうして秋が過ぎて、その年の冬。
クリスマスの次の日だった。
彼女は死んだわ。
顔は硫酸でどろどろに融け落ちていて・・・
身体には殴られた後がいくつもあった。
なのに―
―彼女が抵抗した痕だけは、ひとつも見つからなかった。
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