オートメイション/吉田ぐんじょう
ている愛している愛している
ぽつりとわたしの影だけが長い
・
ともだちと並んで歩いているとき
彼女の背中から
何かが飛び出しているのに気づいた
そうっと近づいてよく見てみると
∞の形のゼンマイであった
触れてみると金属のつめたさを感じる
ともだちがしゃべったり笑ったりするたび
それはききりと回るのだ
そのさまは正確で緻密で冷静で
だからこそとてもおそろしかった
わたしは
彼女を置き去りにして
後も振り返らずにその場を逃げた
空が信じられないほど青かった
あの夏の日
{引用=
それからわたしはすぐに引っ越してしまい
ともだちと会うこともなく
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