想起の中で/かんな
ところ、あの時と同じメロディ
どこにいますか。これから行くよ。
変わらないのは、わたし、だけか
行き着いたパスタ屋のランチセット、九百八十円
空腹を満たす
ロフトでくるりと見て回る雑貨
雑誌や書籍を見てまわる紀伊国屋
変則を忘れたこの距離と時間の、変化を望むから
時折、あなたを凝視した
帰り道、駅へ、どこへ、行きたいのか
押しボタン式の横断歩道
押したのはあなた、渡ったところで口をひらく、思わず
いいかげん、結婚しないんですか。
早くなる雨足に傘を開きながら、答える、あなたが
結婚は。しないかな、面倒だし
渇いたつばと共に飲み込む陳腐な台詞、を並べてみる
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