初秋の対峙/伊月りさ
 

国鉄勤務時代の苦労話に涙を浮かべ
祖母はわたしに会うたびに
すき焼きをたんと拵える
いつでも
いつでも
単一であることは
無であると言う母の傲慢

「おばあちゃんは夕方七時半頃夕飯なのよ
 八時頃にたべおわって 九時頃にねてしまいます。
 九時頃にはテレビを見ながらねてしまいます。
 お久しぶりのお手紙うれしかった。
 手紙を書きながら家にいた頃を思い出して来ました。
 手紙を書く事ないのでぶんがまとまらないでごめんね。」

入院中の祖母は
少しずつ衰えていく
体の不自由が機能を奪い
奪われた機能は、放棄されたと勘違いしたまま 還らない
七時半頃夕飯をた
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