或る少女の生涯について/吉田ぐんじょう
ったんだと私にはすぐにわかりました
そのころからでしょうか
なんだか時間が
早く過ぎてゆくような気がして仕方がないのでした
・
いま私は七十五歳です
次男の建てた家でおよめさんと次男と
孫と孫娘と一緒に暮らしています
洋服も電化製品もふんだんにあり
昔とは全然違う
とても色鮮やかで楽しい日々を送っています
長男からの音信は相変わらずありません
先日の昼間
テレビのニュース番組を観ていたときに
アナウンサーの背後を長男によく似た男性が横切っていきました
アメリカからの生中継です
とアナウンサーは言っていましたが
本当に長男だったのでしょうか
ぼ
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