長い休み/殿岡秀秋
父の通夜の日に
母がうつむきながら遺品を片づけていた
「あなたが毎朝小学校に行きたがらなくてね」
と母は突然
立っているぼくに語りだした
「今朝はどこが痛いというのかな
といってお父さんはあなたを起こすのよ」
具合が悪くないなら
学校に行くように
父はぼくにいっていた
ぼくは小学校に行きたくないとおもいながら
朝を迎えていたが
父とのそんな会話を覚えていない
「あんまり学校に行くのを嫌がるから
あなたを休ませなさいと
お父さんがいったの」
ぼくの長い休みに父が関わっていたことを
そのときはじめて知った
そういえば
いつもはぼくより遅く出かける父が
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