長い休み/殿岡秀秋
ついていて
引っ張られるような
力を感じた
今日一日さえ終れば
どうということはないが
今日そのものが
超えがたい
同級生のみんながいるところに
ぼくだけ不在だった教室へ
まるで自分で自分を
刑場へ
運ぶ
罪人だ
しかし
ぼくの口から母にいいだしたので
帰ることはできない
ゆっくり歩いているうちに
同じ小学校へいく子どもたちは先にいって
見えなくなった
広い校門を通るのが
障害物競走で
梯子の中をくぐりぬけるように
窮屈だ
校舎の入口で
下履きを脱いで
上履きに履き替える
クリーム色の天井が
鏡のように反射して光る
胸
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