長い休み/殿岡秀秋
 
んやり午後の庭を見る
空想では指揮者であっても
現実のぼくにはできない
クラスの子たちと話すことも少ない

庭に出て歩く
あまり元気に歩き回ると
休んでいる理由がなくなるから
すぐに部屋に戻る
明日は行かなくてはならないだろう

夕食を終える
「どうなの」
もう二日も休んだあとだけど
小学校には行きたくない
「大分よくなったみたいだけど
なんだかだるい」

「直っていないなら休みなさい」
母がいった
三日も休めるなんて
ぼくはうれしかった

しかも明日は土曜日だ
そのまま休み続けられるのだ
少なくともその間は
休み時間に
ちょっかいを出す男がい
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