長い休み/殿岡秀秋
 
自分の額をさわった

「それなら明日も休みなさい」
母が思わぬことをいった
思わず微笑みそうになるのに気づいて
ぼくはあわてて口を閉じた

翌日も
将棋の駒を畳に並べて
ひとりで戦争ごっこをした
駒を兵士に見立てて
肩入れする方と
敵対する方とにわけて
戦国時代の戦を始める

長い時間をかけて
空想の戦争がおわり
ぼくが肩入れする方が勝ち
領土をとる

空想から抜けるときは
機関車を入れ替えて
列車に連結するように
戦国時代から現在に
頭の中で動力を切り換える

からだはすぐには動けない
空想の中では元気だったのに
だるい感じがして
ぼんや
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