不気味な水平線/熊野とろろ
なものであれば良いな
農村地を走り回る少年は
孤独が血液のポンプに溢れていたのです
見せびらかしたいな
僕の、大きな心の中
隅から隅まで
汚れちまう前にさ
少年は絵を描きました
何をイメージして描いたのか
少年は想い出せませんでしたが
見たはずもない中世のヨーロッパのお城
家族は驚きました
少年は鼻をすすりました
絵を描く以前に
少年は慢性鼻炎でした
出来損ないの
夕暮れの空
勘違いした
悪い蜻蛉たち
歴史、歪み…
それらが城へ向かわせるのか
城へ、城へ
いつしか少年の血液
孤独のどくどくしい赤い
血には城が混入し始めました
休日の何気
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