鋸でぎこぎこ切っているのだ/人 さわこ
跨いだ向こう側に何がある。そこから何が見える。世界中の誰もが非現実的な生に飲み込まれ、私だけが生き延びる世界に、子犬をつれて。ずっと見ていた夢が現実になり、悲しすぎて歩けない。でもゆっくりと、着実に進んでいる。何を見よう、何を感じよう、何をしよう、何をつくろう。YESもNOも、私には似合わない。何も要らない、何もないない。どこまでもあなたと共に行こう。あなたの望むまま、私のままで。数少ない心残りを大切に、私にはあなたがいる。あなたが洗う食器のすべてを私に拭わせてほしい。心がどこかへ移動して、もしも、それが異空間で謎の巨大な手のひらに握りつぶされても、無い心が描くのは私とあなたの繋がった手と手であり
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