緑のT-TOP/たもつ
とだし、その必要もないことです
親方、こんなことを考える僕は生徒に喩えるなら
良くない生徒なのかもしれません
ふすま一枚隔てた向こう側はハイウェイで満たされて
緑色のスポーツカーや何やらも軽快に走っている頃と思います
気管支の弱い僕の咳がまた一つ増えるわけですが、親方
それは忘れられないということとどう違うのでしょうか
たとえば親方が好きだった整然と並ぶ故郷の模型
親方が愛していた綺麗な声で鳴くカエルたち
そしてその一匹一匹を僕が死なせてしまったこと
なども
親方は「もういいかい?」とだけ訊きます
僕の「まあだだよ」はこの暗闇では「もういいよ」と同じことです
顔が
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