鼠たちの警鐘/山本 聖
「冷蔵庫が壊れているから中に住みつづけることができないではないか」との鼠の苦情を戴いた。何やら冷気の確保に加えて光触媒の七色脱臭ゲルも必要だとか。そして奴らの私への攻撃が始まった。
身を切るような冷たさが必要なのは周囲を食物としてしか見る事のできない悲しみゆえに食うに値するものか否かを常に後頭部で計算している輩が常時 冷蔵庫の中にも外にも街中にも地下鉄の線路の脇にもあなたのすぐ背後にも隠れているから性懲りもなく食い尽くすことしかできないドブ色の長い尾を持ち玉の 眼を光らせていつでもわたしたちを狙っているまるで純真な上に残忍な子供であるから許されるとでも思っているかの如く人殺しである奴らがの
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