鼠たちの警鐘/
山本 聖
がのうのうと冷蔵庫 にのさばってそこいら中にのさばって
昨日は鼠にうなじを掠め斬られた。鋭い飛び出しナイフを奴らは常に持ち歩いている。私たちが安全でいられるのは冷蔵庫が冷たいうちだけ。ほのかな温かみだけで私たちは自らを危険の渦中に放り込むことができるのだ。
鼠退治をする片っ端から鼠へと変化してゆく輩も多いこの頃。私たちに残された道は自ら冷蔵庫の内部へと移住し鼠を含むすべての悲しみたちを食い尽くすことしかないのかもしれない。
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