紅茶が冷めるまで/木屋 亞万
 
して唇から奥に紅茶を入れさせてくれません。つるんと一口飲んだけれど熱すぎて味はわかりませんでした。舌がじんと熱に負けてしまって表面がびりびりしています。
紅茶が冷めるまで外で遊んでらっしゃいなとお母さんがおっしゃったので、庭で友達と遊んでいる妹のところへ行きました。妹は二人の友達とは遊ばないでじっと立っていました。妹の側に行ってどうしたのと尋ねると「ひつじ」と言いました。隣の家とうちの家の間にある塀を指差して何度も「ひつじ」と言うのです。その指は塀とうちの家の隙間を指差しているようでした。妹は私が「ひつじ」を見に行くまでその行動を続けるようなので、恐る恐る塀のところまで歩いていきました。
塀と
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