舞蹴子/木屋 亞万
 
たりしたのだろうか

いつか私が生まれた日のことを
覚えている人が誰もいなくなってしまう日が来る
私は私を産んでくれた人
育ててくれた人の死を見届けなければならない

この子を産んだ日のことを私はずっと忘れない
彼にもずっと忘れないでいてほしい
そしてこの子は大きくなったら
私たち夫婦が死んでいく瞬間を見届けるのだ
私は自分が死ぬ瞬間を覚えておくことはできないから
この子に変わりに覚えておいてもらおう

今は性別くらい生まれる前にわかるのだと伝えても
彼は生まれてくるまでは知りたくないと言う
この子がもしハンディを抱えた子だったとしても
二人でしっかり育てていこう
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