舞蹴子/木屋 亞万
こうなと私の手を握り締めてくれた
女の子が生まれる気がするんだと彼は笑って言うけれど
腹の中でドロップキックがやまない辺り
やんちゃな男の子なのではないかと思っている
マイケルじゃあ少しかわいそうだなと思いながら
窓の外を見ると大きな月が浮かんでいた
うすい雲がかかっても輝きを失うことがない満月
大きな月の真ん中で兎がムーンウォークを舞っていた
漢字にするなら舞蹴だなと思った
彼がトイレに行ったからか
舞蹴は少し静かになった
秋を告げる虫の声と心地よい夜風が頬を撫でた
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