アナフラニール/e.mei
と
星の子供は永い夢を視ようと目を閉じた
前の世界からあたらしい世界に移った際に上昇を始めた水位は
今もなお上昇を続けるばかりで
いつかは此処も水のなかと呟いたのはどちらだったのか
僕は覚えていない
僕と君はこれと言って嬉しい記憶もなく
楽しい記憶もないアイスクリィムショップで少しのあいだ
お互いの記憶を重ね合っていた
夏のあいだに終わってしまった世界で君が
淡いピンク色した蝶々のまぼろしを視たことがあったのなら
ようすいに沈んでいった女よりも少しだけ多いチョコレイトが君へ
話しかけてくるだろう
ばいばいと言ってはいけなかったんだよと言ってから君は
その
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