アナフラニール/e.mei
その言葉自体つくられるべきではなかったのにと続けた
川を静かに流れているのはブルー
僕たちはそれ以降何も言わずに上昇を続ける青を眺めていた
閉鎖されたアンタレスの観測所が遠くにぼんやり見えていて
空では季節はずれの蠍が心臓をさがしているのだけれど
覚えているだろうか
君が初めてアンタレスの観測所から空を見上げたあの日のことを
あの時に泣きながら言った君の言葉は謝罪の言葉だったのだと
あたらしい世界になってから気付いた
ソーダによって洗浄された世界に生まれた
ストロベリィジャムの頬をした女の子
降ってくる祝福の言葉を受け入れる彼女のジャムは蠍の心臓より
朱い色をしている
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