昨日のリタ/ホロウ・シカエルボク
 
か見えない


午前一時を過ぎたころ電話ボックスの中で
電話帳をめくり続けている女を見た
彼女はどこにも電話をするあてなんかないみたいに見えた
他にすることがなくて仕方なしにそうしているというように
一〇分眺めてからボックスのドアをノックした
俺も別に電話をかけたいわけではなかった


「ごめんなさい」女はそう言いながら
電話ボックスを出ようとした
違うんだ、と俺が言うと不思議そうな顔をした
「退屈しのぎのお手伝いが出来ればいいかなと思ってさ」俺がそういうと
チャーミングなはしたなさで笑いながら
部屋に招き入れるみたいにドアを抑えて俺を迎え入
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