トルネード・トラジェディ/渡 ひろこ
 
ディスティックでふしだらな舌を諭すために
オーバーヒートして思いつめる情念を鎮めるために


一筋の歌が上昇気流に乗り
鍵爪の首にからみつく
歪んだ核心に触れられると
それは怒り狂って正体を現した
キリキリと身体をねじ曲げ
地上を目指して下りてくる
ヒヨドリは暴風に殴られ震えた




イビツな円錐の尖端についてる目は探している
まさぐるように着地点を選んでいる
ヒヨドリたちは見つからないように押し黙っている
尖端の目は狙っている
わたしを……




「やめて!」
叫ぼうにも怖くて声が出ない
これからの惨劇を楽しむかのように
鍵爪の冷酷な意思
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