幼さ/かんな
幼さは
夜になれば
月がゆいいつの嗜好品だった
友人からの見舞い品
立体クリスタルパズルを
病室のベッドライトにかざす
ムーン
月の形をしている
でも何だかバナナみたいだなって
かじったら
月は甘いかもしれない
そう思って
空をあおぐ
真実に直面した幼さは
とめどなく泣く赤ん坊のようで
それは悲しみとは
ずいぶん違った
そして喜びとも、いくらか違った
明日と朝は
どちらが先にくるだろう
という単純な問いを、自らに問う
だからきっとこの病のこたえは
その応えにある
そういうものだ
などと勝手なことを考える
白く清潔なベッド
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