胎盤/ホロウ・シカエルボク
目を開けることもなくなっていった
かいがいしく彼女の世話を続けていた女たちは
「あの子はもうどんなことをしても死んでしまうんだ」
と言って
彼女の家からもどるたびに泣いた
男達は自分たちのせいで彼女がそうなってしまったような気がして
塞ぎこんで酒を飲んでばかりいた
医者はギリギリのところで彼女の命をとどめているようだった
今では医者も少し痩せ始めて見えた
せめて赤ん坊だけは
せめて赤ん坊だけは、と
彼らは祈るようになっていた
ある日
子供がもう生まれるかという頃
紫色の唇の女は深い深い夢を見た
無数の古代魚が踊る海の中に彼女は居た
彼女は身ごもる前の身体に戻
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