胎盤/ホロウ・シカエルボク
 
目がちな男だった
この男が自分を好きになってくれれば
そのまま結婚してもいいけれどなんて少女はちょっと考えたけれど
どちらにしてもそれはいますぐの話ではないだろうと思い
その後は出来るだけその男につれなくした
男は戸惑いながらも問い詰める勇気はなく
やがて彼女を抱く前の自分に戻った
少女はやがて周囲の連中の毒抜きを済ませ
彼らはもとの気のいい連中に戻った
新しい年が来るころには
少女はそれまでを脱ぎ捨てたように綺麗な女となっていた


女の右腕には
彼女が彫り込んだわけのわからない名前があったから
男の中には
二度と彼女を求めないものもいた
それでも構わない者たち
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