胎盤/ホロウ・シカエルボク
 
すばかりだった
「心の問題ではないか」

まわりの者たちには思い当たる節がなくもなかったので
頃合いを見計らって心の医者の所に彼女を連れていったが
彼女の心にもやはり病みの形跡はなく
医者は
「私の扱うべき問題ではない」

首を横に振った
私の扱うべき問題ではない
それはきっと
彼女が彼女であるために必要なことなのであろう、と


ところで彼女の唇は相変わらず紫色で
その色味は時々
見るものをぞっとさせることさえあった
「この子はどこか悪いんじゃないのかね」
たまに訪れる客人が
そんな風に気をもむことがあったが
彼女はどこも悪くないんだ、と
みんなが
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