胎盤/ホロウ・シカエルボク
であり、そしてまた通過してゆくたったひとつの命である、ああ、あああ、人は生きているだけで、その命を身体の中でかけ巡らすのだ、綺麗だ、綺麗だ、綺麗だ、綺麗だ、たったひとつの命、たったひとつの胎盤、それは限定された印象のように青く…私もまた命だった、美しく愚かなひとつの命だった、今私の人生を悔いることはない、私はたったひとつの私を生きただけなのだ、そこには否定や肯定が存在してはいけない、私はたったひとつの私を生きただけなのだから…生命の、速さ、それは時間を含んで、なんて心地の良い…女は目を閉じる、出来ればこのまま身体を離れたいと思いさえしたが、下腹部の激しい痛みが彼女を自分の身体に引き戻す、そうだ、そ
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