舞台裏/山中 烏流
を
持て余しているらしい彼は
人里からそう遠くない断崖で
何かの名前を叫びながら
飛び立ってしまったのを
彼の彼女の元彼の友人が
目撃していたらしく
その葬式に訪れていたのは
全くの他人の群れと
近しい他人だけだった
*
私の背の正面で
誰かの声がする
しかし
その姿が
私からは見えない以上
この認識は
決して、正しくはない
*
ほの暗い地下書庫の暖炉で
私が色々を燃やすのを
誰も
咎めることはなく
むしろ
彼らは嬉々とした表情で
私のとる一部始終を
た
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