太陽の塔/瑠王
 
藍の闇、琥珀の星。
三日月の船が西に寄る頃、太陽の塔の石階段を陽の守人がゆっくりと上り始める。

金の弓を手に、まるで世界を起こしてしまわないよう気づかうように、
一歩ずつ、音をたてずにゆっくりと上る。

三日月の船の上。
月の唄い手の子守唄は、もうゼンマイの止まりかけたオルゴールのようだ。
草原の草達が、さわさわと目を覚まし始めている。

旅の風がじゃれついて一面の草達を驚かせると、一斉に目を覚ます。
そうやって緑の海が揺れるのを、陽の守人は静かに眺めた。
間もなく塔の頂上へ辿り着こうというときに鳥達が声の調子を整え始める。
皆、朝を待っているのだ。

塔の頂上で燃
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