風に吹かれて/ホロウ・シカエルボク
中で暮らしていたのだ。
肉体を離れて彷徨っていると、同じように肉体を離れて彷徨っている者たちに出会うことがある、「亡霊」なんて名前で呼ばれるやつだ、彼らは俺の状態に非常な興味を持って近づいてくる、よくテレビの心霊レポートものなので、「大変に意思の疎通が困難な霊です」なんて場面を見ることがあるが、こちらが肉体を離れていればどんなやつだろうとそこそこの話は出来る、基本的な情報は携帯電話の赤外線通信のように相互に送信、受信されるような感覚がある、さて…台所から玄関の脇のトイレや浴室のスペースに入って行ったら、青年だろうか「生きてるのか?」と彼は言った「そのようだ」と俺は答えた、俺のような存在は面白
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